- 正月の決意
- 十年目のバレンタインデー
- 今夜は一人で雛祭り
- 君の瞳に乾杯
- レンタルベビー
- 壊れた時計
- サファイアの奇跡
- クリスマスミステリ
- 水晶の数珠
の9つからなる短編集です。
9つの話に特につながりがあるわけではありません。
正月→バレンタイン→雛祭りと来たので、そのように進むかと思いましたがそういったわけでもなく。
アマゾンのレビューで書かれている方もいらっしゃいましたが、素敵な日本人ばかりなわけでもありません。
↑画像をクリックするとアマゾンへ飛んでレビューがみれます。
今回、さっくり、気軽に読める短編集でした。
最近の東野圭吾作品がなかなかに思いテーマも多くって、人間描写がうますぎるがゆえの重さが。。。。
こういう、さっくり感があるのは読みやすくて好きです。恋のゴンドラも結構さっくりいけましたが。あれも、つながってはいますが、短編集ですね。
1.正月の決意
神社で人が殴られて倒れている事件があって、そのその場にいた夫婦が(いいかげんな)警察のせいで、やんわり、ウソの証言をしてほしいと頼まれ事件に巻き込まれる?といった感じの話です。
オチとしては、この夫婦、実は初詣を済ませてお家に帰ったら心中しようと考えていたのですが、このあほな警察の行動をみて、すっかり死ぬ気をなくしてしまったという。
あほ警察でも役に立ったお話です。
正直、これを読み終わった後、う~ん。こんな感じか~。あんまり好きではないな~と思って、読むのが止まっていました。
先に、掟上今日子の裏表紙を読み
2.10年目のバレンタインデー
東野圭吾作品に出てくる男って、
正直、あまり魅力的でないのが多い!
特にもてるという感じで出てくる友人。
ゲスな感じが多い事多い事。
今回に主人公の男性も、おそらくナイスルッキングなかんじの男っぽいけど
そうとうなゲス!
10年ぶりに元カノからメールがあって、のこのこ会いに行って下心があってって。
しかも、オチが、小説のアイデア盗むために恋人を殺してその事実を隠ぺいしていたって・・・。
元カノが警察官で、すべてはこの男を逮捕する為に仕組まれていたというオチでしたが、小説のネタ盗んどいて、人殺しといて、殺した女性と同じサークルかなにかの子で、いきなり別れたいっていわれて10年ぶりに再会したいっていわれて。
後ろ暗い事あるなら、もっと疑えよ。。。
といった感じの作品でしたが、お話は楽しく読めました。
ゲス男が成敗されたので!
3.今夜は一人で雛祭り
お雛様も豆知識をGETできるお話でした。
お内裏様とお雛様は左右どちらにおくのかってネタは、ちょいちょいでてきますよね。なんかのミステリーでもみたような。コナン?だったかな~。
そのそも、雄雛をさしてお内裏様っていわないとか。
そのネタをもとに、嫁、姑話をうまく書いています。
ミステリーとかそういった類の話ではありません。
こちらは素敵な日本人っていうタイトルに一番しっくりくるお話だったと思います。
4.君の瞳に乾杯
面白かった。
私がアニメ好きというのもあって、こういう話が合う人にであると盛り上がるよね~というのもあり。
どういうオチにもっていくかと思ったら・・・・
今度は主人公が警察だった~!2の10年目のバレンタインでは相手が警察だったけど、今回は物語の主人公が警察。
身分は明かせない様で、はじめっから職業は広告関係とか嘘ついてますが。
見当たり捜査というのをはじめて知りました。
そんなお仕事があるんですね~。
大変だわこりゃ。
指名手配書の写真や防犯カメラの画像などから容疑者の特徴を記憶し、駅や繁華街を歩いて似ている人を捜し出す捜査
ですよ。
主人公の仕事がこれで、合コンでアニメの話で盛り上がって上手くいきそうだった女の子の正体が指名手配犯だったというオチ。
カラコンを外した顔をみせたら、幻滅するといって、顔を見せた瞬間
「君は僕が長年探していた人だ!」
と運命的なものをにおわせたところで、
指名手配犯。
面白かったです。
指名手配犯のポスターとか見ても絶対こんなの普通にいても覚えてないやと思っていたのですが、こんなお仕事されている人がいたんですね。
すごいな~。大変なお仕事だと思います。
5.レンタルベビー
精巧にできたロボット赤ちゃんをレンタルして疑似子育てを体験できるという近未来のお話。
うまいな~と思ったのは、叙述物だったところで、てっきり、30前後くらいの女性が主人公だと思っていたら
なんと、60代の女性でした。でも、年齢をごまかしていたというオチは
反転葉桜の季節に君を想うということ反転
めっちゃネタバレになるので、反転してあります。読んでない人もいると思うので。
この小説とかでもあったので、おっ!うまいな~と思っただけでしたが、もう一つオチが!
彼氏だと思っていたパートナーはレンタルベビーと同じくレンタル彼氏だった~!
二つも仕込んでたよ。東野さん。
うまいな~。
これも楽しく読めました。
6.壊れた時計
ある彫像をある部屋から盗んで、ある所に届ければ大金がもらえるという、どう考えても怪しいお仕事に手を出した主人公。
予定外に部屋に帰ってきた住人を誤って殺してしまうのですが、そのときに、被害者の腕時計が壊れてしまったらしく。
こんな、あからさまに、犯行時刻はこの時間です!と、とまっている時計があっては怪しすぎる!と思い時計を持ち帰ってしまいます。
この時点で、
「いや、持っていくなよ。そのままにしとけよ。絶対ここから足がつくに決まってるじゃん」
と思っていたのですが、
更に、その時計を修理して、被害者の腕に付け直しにいくという。
おいおいおいおい。
当然、後日、警察が部屋にやってきて。
話を聞くと、被害者の時計は朝から壊れていたと。被害者が朝から不便だ不便だとぼやいていたと。
被害者が部屋にもどるまでの足取りをたどるとどう考えても、時計屋にいって修理していた時間がない。なのに、死んでいる被害者の腕時計は修理されている。
そこから、時計修理のところを調べていたら、主人公に行きついたと。
なんともおまぬけな話でした。
7.サファイアの奇跡
東野圭吾さんらしい話といったらいいのでしょうか?
変身とか分身を彷彿させる物語です。
ネコの脳を移植したら、そのネコの脳の記憶が残っていたというお話。
あんまり、好みのお話ではなかったかな。
8.クリスマスミステリ
これまた、ゲス男の話。
短編なので仕方がないのですが、どーして恋人が邪魔になったら、殺すという発想になるかな~。
しかも、結構自分のご都合主義で邪魔になって殺そうとするし!
恋人が毒を自分に見せてきたら、その毒をつかって自分を殺そうとしないかカマをかけてるとか思わないかな~。
せめて。別の白い粉足して、減っていない様に偽造しなよ!
恋人が用意した白い粉を使って殺人を企てるも失敗し、その後、自分に容疑が向くようにしむけられて、恋人が自殺するという。
もう、ゲス!ただのゲス男です。もちろん、素敵な日本人でもなんでもありません。
9.水晶の数珠
最終話にふさわしい、素敵なお話でした。
アマゾンレビューもこちらを評している方が多かったように見受けられます。
ちょっと、いいお話。
度会家には代々伝わる、水晶の数珠があって、それを継承したものは、ものすごい成功などを手に入れるという。
本当に、継承したタイミングから人が変わるものが多いらしく、そのお話は度会家にまことしやかに受け継がれていたのですが。
その秘密は。
なんと、呪文を唱えれば一度だけ過去に戻れるというもの。
でも1回しか使えない。
歴代の度会の先祖たちは、それをうまくつかって、大勝負にでたりして成功を得てきていたのですが。
主人公の父親がなににその1度を使ったのかがわかりません。
でも、つかったという。
よくよく考えると、主人公が乗る予定だった新幹線が事故にあっていたことがわかり、その事前に、父親からおかしな電話がかかってきていて、主人公はその新幹線にのらないことになったという事があって。
父親は、とても主人公に厳しく、主人公の役者になるという夢にも猛反対していました。
が、実は、誰よりも応援していて、その主人公の大切なオーディションにいかせるために、この1度の特権をつかってくれていたという。
心がなんだかほっこりするお話がラストにはいっています。
これは素敵な日本人に当てはまるお話でした。
短編でさらっと人をほっこりさせる才能。
う~ん。やっぱりうまいな~。
東野圭吾さんの、こういうほっこり短編集、ほんと、好きです。
読み応えのある長編も楽しいけど、こういうほっこり楽しい作品、また読みたいな~。