容疑者Xの献身のできがとてもよかったので、期待が高まる「真夏の方程式」です。
真夏の方程式の最大のキーワードは
「この事件の結果によって、ある人物の人生が捻じ曲げられてしまう可能性があるからだ」
だと私は思います。
ネタバレ入ります。
一見この人物というのは映画では杏ちゃんが演じる川畑成美のことかと思える展開で進んでいきます。
実際、川畑成美が西田尚美さん演じる三宅伸子を殺してしまったことで、今回の殺人が起こるのですが、成美が三宅を殺してしまった理由というのが成美の出生の秘密によるものなのです。
成美の本当の父親は現在一緒にいる前田吟さん演じる父・川畑重治ではなく、仙波英俊という人物。ですが、これは知られてはいけない風吹ジュンさん演じる川畑節子の秘密。仙波は妻がある身なのです。
それをネタに強請を働こうと考えたのが三宅。ところがゆすりに節子の自宅へ向かったところ家にいたのは娘の成美。
三宅は成美に出生の秘密をばらし、ののしります。
自分の出生の秘密をしってしまった、成美はパニック状態になり、包丁で三宅をさし、殺してしまいます。
娘のために仙波は自分が犯人になり罪をかぶります。この時逮捕したのが、今回殺された塚原正次元刑事。
塚原は仙波が犯人というのに納得がいかず、ずっと事件の本当の真相を探っていたのです。
が、真実にたどり着かれては、成美が殺人者ということもばれてしまう。
ということで、塚原は殺されてしまったのですが、
この殺し方に問題があり。
塚原は転落死ではなく、一酸化中毒による他殺というのは結構早めにわかることなのですが、
煙突の排気口があるのにどうして、締め切った部屋で一酸化炭素ガスが致死量を超え死亡するのか?
自供している、重治は足が不自由で煙突の排気口にふたをすることができない。
では誰が?
これが最大のポイントです。
この物語の中で子供ぎらいの湯川が、「博士、博士」とよばれ、子供と意気投合していく部分があるのですが、その子供柄崎恭平が煙突のふたをさせられていたのです。
もちろん、故意ではありません。ロケット花火が煙突にはいるといけないからという理由で蓋をさせられていたのです。
もちろん、恭平に罪はありませんが、知らずに殺人の片棒を担がされていたと恭平が知った時のことを考え湯川は
「この事件の結果によって、ある人物の人生が捻じ曲げられてしまう可能性があるからだ」
と言っていたのです。
無垢な小学生に殺人の片棒を担がせる大人の無神経さ。そこまでしたも、守りたかった親心、子供嫌いの湯川が、いつもは動機やそのほかのことにはまったく興味がないと言い放つ湯川が嫌いな子供にみせた人間らしさ。
各々に各々の理由があるのはわかりますが、恭平くんのことを考えると胸が苦しくなる作品でした。
映画はまだみていないので、どのような仕上がりになるのかはわかりませんが、期待は膨らみます。